新会社法では、新たに有限会社の設立はできなくなりました。ただし現存する140万社にのぼる有限会社については、そのまま存続できる経過措置が定められました。今後、有限会社には次の選択肢があります。
ただし経過措置が時限的なものになると、将来、株式会社に移行しなければならなくなる可能性が全くないとは言えません。
今回、最低資本金規制が撤廃されたので資本金の増額は必要ありません。新株式会社になると、任期のなかった取締役に任期が生じ、決算公告も必要になりますが、会社の対外的な信用度は高まります。
新会社法でも、合名会社や合資会社は従来どおり設立できます。また、新会社法では新たに合同会社(日本版LLC=リミテッド・ライアビリティ・カンパニー)が新設されました。有限責任(出資者が出資の範囲内で責任を負う)で役員の権限や利益配分などを自由に定めることができ、取締役、監査役の設置も不要です。高い技術や特許等をもつ個人やベンチャーなどが起業しやすい会社形態として注目されています。
株式会社は1,000万円、有限会社は300万円の最低資本金が、新会社法により不要となりました。最低資本金規制はなくなりますが、あくまでも資本金の最低基準がなくなるというだけで、資本金制度そのものがなくなるわけではありません。
平成15年2月に施行された新事業創出促進法の特例によって、時限的に一定の条件のもとで、最低資本金規制を受けず1円でも株式会社・有限会社を作ることができましたが、この時限立法が廃止され、これによって設立された会社(確認会社)もそのまま存続できます。
新会社法では、同一市町村内において同一の営業目的で同一又は類似した商号は登記できないとの規制が撤廃されました。これまでは、登記に際して類似商号の有無等を調べる作業が必要でしたが煩雑な割りに、保護範囲が同一市町村のみに限定されるなど、実質的な意味が薄いことから廃止されるものです。新会社法施行後自社の商号と紛らわしい名前を使った会社から損害等を受けた場合には、登記の有無に関係なく、不正競争防止法に基づいて、誤認を招いている客観的事実を立証すればよいので、訴訟を提起しやすくなります。
なお、他の会社と同一住所、同一商号の登記はできなくなります。さらに会社の目的にかかる表現の審査も緩やかになり、包括的な記載も認められます。
現物出資、すなわち金銭以外の財産を出資して会社を設立する場合には、その現物出資の金額が「資本の5分の1を超える」または「500万円を超える」場合は、裁判所の選んだ検査役の調査を受ける事が必要でした(資本金1,000万円ならば現物出資が200万円で対象になる)。新会社法では、「資本の5分の1」の規制がなくなり、総額が500万円を超えないときは検査役の調査は不要となりました。その結果、小規模会社においても現物出資がしやすくなり、個人事業の法人化も容易になりました。